2016 - 11 - 05
繁忙期にホテルの宿泊料金を値上げしたいオーナーの相談。あなたならどのようなアドバイスをしますか?
簡単な事例を使って、基本的な考え方をご紹介します。
ながたあいです^^
なんだか年末の足音が聞こえてきますね~。
福岡の街並みも、クリスマスに向けて色づいてきましたよ♪
さて、今回はホテルの宿泊料のカラクリについてのお話です。
福岡では、ホテルがほとんど予約できない状況なのだとか。
(私はホテルに泊まる機会がなかなかないので、ピンとこないのですが・・・)
そんな中、あるホテルのオーナーさんから受けた
相談事例をご紹介します。
連休や祝祭日前夜は、
ホテルの宿泊料金を少し値上げしたいのですが・・・
いくらにしたら良いか悩んでいます。
あなたなら、どうアドバイスしますか?
計算をわかりやすくするために
このようなホテルに設定しましょう。
■通常料金が1泊素泊まりで1人当たり5000円
■100部屋あるビジネスホテル
この場合、
1部屋平均1名の利用者だとします。
100部屋あるので、最大100人が宿泊することが可能です。
低価格のビジネスホテルであるため、
連休やイベント開催期間中は
特に予約で満室になってしまいます。
そこでオーナーは、連休中などの繁忙期に
宿泊料金を少し値上げをしたいと考えている。
そのような設定です。
考えてみてください。
オーナーはなぜ値上げをしたいのでしょうか。
予約の電話がかかってくるのに、
お断りしなければならない。
このお客様全員が宿泊することができたら・・・
どれだけ儲かっただろう。
そのようなことを考えているハズです。
顧客から見た視点では
需要>供給
の関係が見えてきます。
需要に対して、供給が足りていない。
だから宿泊料が高いのだろう。
そう思う人もいるでしょう。
確かに、それはそうですよね。
需要が多ければ、少々値上げしてもニーズはあるでしょう。
しかしながら、それだと「言い値」になってしまうので、
今回は「適正価格」の算出方法についての一例をお伝えします。
顧客側には「需要>供給」の状態に見えますが、
オーナーにとっては「機会損失」が発生しています。
そのため、その「損失」を取り戻すための価格設定をする、
というのが、基本的な考え方になります。
この考え方は、宿泊業だけでなく
他の業種にも使える基本的な考え方なので
ぜひ参考にしてみてください。
◆「機会損失」の金額を算出してみる
簡単にいうと「何人断ったか」ということです。
過去の繁忙期中の潜在需要を調べます。
満室以降、何組(何人)の予約の問合せがあったかを
調べてもらいました。
予約を断ったのが、
1クール当たり30名だったとしましょう。
今回は1室1名の前提条件をつけているので、
このような計算となります。
30名×1泊5000円=150,000円
予約を全て受け入れることができていたら、
売上高がこの1クールだけで15万円上がっていた、
ということです。
つまり、これが「機会損失」の金額となります。
なお、補足しておくと
今回は計算をわかりやすくするために
素泊まりのビジネスホテルを例に挙げていますが、
実際は料理の材料費などの「変動費」と呼ばれる費用が
かかってきます。
その場合は、変動費率を算出し、その変動費を除いた金額
「限界利益」において計算します。
◆宿泊者の負担額は1人当たりいくらになるか
さて、15万円の「機会損失」をしているオーナーは
この損失を取り戻すために
どうしたらよいでしょうか。
実際の宿泊者から、回収するしかありません。
実際の宿泊者は、満室時に100人なので
その計算式は、こうなるでしょう。
150,000円÷100人=1,500円
通常価格5,000円の宿泊費に
1,500円を上乗せすることで
機会損失の分は回収できることになります。
5,000円→6,500円ですね。
限界利益を「機会損失」と考える考え方は、
前述したように「変動費」と関係があります。
今回のケースにおいて、
「宿泊者がいないと発生しない費用=変動費」
ですので、
発生しない費用を実際の宿泊者に
負担させる必要はありませんよね。
なので、変動費を除外して計算します。
いかがでしょうか。
「機会損失」をこのように計算していく方法もあります。
実際は「旅館」のオーナーさんでしたので
値上げ率はそれなりの金額になり、
リピーターを失ってしまう可能性もあったので、
その機会損失分を回収した利益の一部を
有効に使うことを提案しました。
たとえば、
特別な食材を使った料理やお酒の提供など
+αのサービスをつける。
原価2,000円もかけると、
売価では10,000円ぐらいの価値がありますからね。
(おおよそ変動費率は20%ぐらいです)
たとえば、
繁忙期中に頑張ってくれた従業員への臨時ボーナス。
あくまでも「機会損失」の一部を使うので
マイナスになることはありません。
むしろ、従業員のモチベーションは上がりますので
宿泊者への対応にも好影響が出てきます。
値上げ設定をしたものの、
宿泊者に嫌悪感を抱かれたり、
従業員の負担が重くのしかかるようでは
元も子もありません。
お互いに気持ちよく
納得して利用してもらいたいですよね♪
ながたあいでした^^